両替(フランス旅行記)

 フランスに行くなら、ユーロ。
 いくら持っていこう。どういう形で。
 友人宅を泊まり歩く私に、彼らがお金を払わせることはないだろうか
ら、私がお金を遣うとしたら、朝市などでみやげを買う時ぐらい。
 小銭がいる。
 別の言い方をすると、クレジットカードで決済できるような高額の買
い物をする気はないってこと。
 まずはトラベラーズチェックを考え、アメックスのフランス語のサイ
トを見ると、友人の住む町にもトラベラーズチェックの取り扱い銀行が
ある。それなら便利だけど、と友人に確かめに行ってもらったのは、フ
ランスという国への私の勘が冴えている証拠。
「この国の銀行って最低よ」
 友人がSkypeで憤慨する。
 銀行は、トラベラーズチェックは扱っていないと胸を張り、
「銀行の国際キャッシュカードを使ってください」
 と言ったそうな。
 それもありだが、手持ちの現金が底をついた時に有効になる手段であ
って、クレジットカードのキャッシングでも間に合う。
 しかし、私はトラベラーズチェックか現金かで迷っている。
 トラベラーチェックは、購入時のレートは良くても、現地で換金する
際取られる手数料が高いと、有利さが薄れる。
 何かいいアドバイスはないものかとインターネットサーフィンしてい
たら、一瞬で私の目を覚ましてくれる辛口批判に遭遇した。
 曰く、ホテル・観光・食事つき短期ツアーの参加客の所持金は平均三
万円程度だそうだが、その程度で目の色を変えて両替レートを比較する
のは、
「時間の無駄です」
 ときっぱり。
 私は十三日間の旅行だが、まさしく三万円ぐらいの予算を考えていて、
なるほど、その程度なら損も得も許容範囲。
 ちょっと多めの予算なのは、円高の時期なので、アッシー君になって
くれる友達に奢るレストランの食事代を現金で払うことにしたから。
 しかし、「損」と言うなら、航空会社のサイトで航空券を購入した時、
もう損は発生している。
 予約の翌日、購入確定したら、為替レートがその朝変わったために、
フランスの空港税などが若干割高になったのだ。
 それを許容できたのであれば、両替方法による損失も許容できるはず。
 ユーロは現金で持っていこう。
 ところが、銀行によってレートが異なると知ると、またぞうろう損得
勘定が頭をもたげ、毎日銀行のレートを比べて、好ましい銀行の目星を
つけておくも、大切なのは当日。
 成田空港の両替所は一ヶ所でした。
 地方からの乗り継ぎだと、行きも帰りも、選択の余地なくそうなると
は、知らなんだァ。