気が乗らない時は

 今日は、午後になっても書く気になれない。
 朝七時半に買い物に行ったせいではあるまい。
 牛肉を使った料理はいろいろするけど、肉じゃがだけははずしていて、
それと言うのもジャガイモが炭水化物だからだが、我が母親が、油で炒
めるのではなく、あっさりしたのがいい、肉じゃがとか、とのたまった。
 肉じゃがを望むのは男性の専売特許ではなかったか。
 まあ、では、肉じゃがを作るとしよう。
 ただ、私はStaub料理本に載っているレシピを参考にして作ること
にしたので、牛肉とタマネギは油で炒めるんだけど。
 夜炊き直せばいいだけにすべく、朝、料理を始めて、あとはStaub
鍋に食材と調味料を入れて炊けば終わりというところまで来て、料理酒
がほとんどないことを発見。
 こういう時、ちょっとお隣で借りる、という文化は、私が生まれた時
にはもうなかったので、七時に開店するスーパーマーケットのありがた
さをしみじみ感じつつ、七時半に買い物に。
 それで一日の調子が狂い、書く気になれない、と言ったとしたら、勝
手なこじつけだろう。
 やる気がない時は、それでも、そのやるべきことに着手する体勢にな
ると、そのうち調子が出てくるそうな。
 午後も二時を回ってから、パソコンに白いページを立ち上げた。
 と、まさしくその瞬間、運悪く友達からメールが来て、それを私の都
合で「運良く」と解釈して、まずは返信。
 私がメールを書くと、電話した方が早いのではないかと自分でも思う
ぐらい長い文章になるのだが、長すぎて二通に分けて送ったら、そのあ
いだに一時間ほど時間が過ぎていた。
 その後も、彼女から返信メールが来るし、すると私もまた書いて送り、
一向にこの文章を仕上げることだけに集中しない私である。
 ただ、今日はメールとの同時進行が良き作用をしてくれている気がす
る。
 友から返信が来ると、しばしそちらに意識が削がれるが、もしそうい
うことがないなら、これを書くことだけに集中することになる。
 すると、もともと気が乗らないわけだから、はて、何を書こう、と脳
が硬直し、結果、何も書けなくなる気がするのだ。
 集中しようとするほど煮詰まりお手上げになるところを、友とのメー
ルのやりとりのおかげで、文章を綴れている今。
 メールも書く行為なので、音楽を聴きながら書く場合の音楽と同じに
はならないだろうが、それに近い効用を感じているうちに、友との往復
メールは十二通。この文章も終わり間近まで来た。
 気が乗らない時は、集中し過ぎないのもコツかも。