吊さないドライフラワー

 夏はシャワー。
 いくら風呂が好きでも、入った途端ゆだりそうだと感じたら、温泉でも
ない限り、しばしお預けである。
 が、そうなる前からシャワーに切り替えたのは、ササッと汗を流せば済
むので、寝る準備の時間を短縮できるからだ。
 本当にもう風呂は無理、と実感したのは、わずか二日前だ。
 昼間はTシャツの下で発熱している自分自身の体温を感じ取れるように
なったし。
 朝起きたら、これも二日前から、羽毛布団が半分ベッドからずり落ちて
いる。
 暑くて蹴り落としたんだな、私。
 当たり前か。
 今年、寒い冬のさなかに、私ははたと閃いて、冬用の羽毛布団が入って
いる布団カバーを開けて、中に夏用の薄い羽毛布団を入れた。
 そうできる余裕がありそうだと布団カバーを睨んで推察したのだったが、
大正解。
 おかげで暖かさが増した。
 しかし、そんなダブルの暖かさが六月まで必要なわけはない。
 今日、ベッド関連の総衣替えをした。
 曇で湿度は高いが、きのうのような汗ばむ蒸し暑さではなかったからだ。
洗濯は、カラッと晴れた日にまとめてしよう。
 それにしても、冬用と夏用の羽毛布団をダブルで使うと閃いたとは、我
ながらすごい、と思い返して一人悦に入るのは、独創的な閃きだったと酔
いしれるからではなく、ほしい結果がその方法で手に入ったからだ。
 普通はどこかで見聞きした情報を頼る。
 困るのは、一つの目的に対して複数の情報に出くわす時だ。
 かすみ草は、ぽろぽろと小さい花が落ちるので家で花瓶に生けたい花で
はないけれど、新型コロナウイルス中に、花農家を応援するため、普通で
はあり得ぬ本数が安く売られた。
 安さに負けて、購入。
 それを白いスターチスの入った花瓶に生けてから、ふと、ドライフラワ
ーにできないかなと思った。
 これから夏。
 生花はすぐに駄目になる。
 でも、ドライフラワーだったら。
 インターネットで調べて、花瓶に差したまま枯らしていくという方法に
心が惹かれた。
 逆さに吊すのは、よっぽど雰囲気のある所でないと、きっと汚い感じに
なる。
 花瓶の中で、かすみ草とスターチスは綺麗なドライフラワーになってく
れた。
 これに味を占めて、色のアクセントを加えるべく、青いスターチスを購
入。しっかし、こちらは花の首の所から折れるのが多発して、なんでだろ
う。
 ところで、情報といえば、私にとって最大限に有益だったのは、シャン
プーで髪を洗わないという「湯シャン」だった。