まずは拒否反応

 買い溜めしてあった最後の電車の回数カードが終わったら、回数カードは
もう販売終了なので、代替の交通系ICカードでポイント付与を目指すか、
そういうのは求めずICカードを使うか。
 というのは、ポイント付与のためには、名前と生年月日、電話番号を登録
しなければならない。
 無記名式は、見た目だけになる。
 万一カードを落としたら、拾った誰かは、持ち主がわからないから、自分
で使うだろう。そして、ひょんなことでカードに紐付いた私の個人情報を知
ることになったら。
 だって、暗証番号は、あっさり解読される番号が割り当てられるのだ。
 この程度の個人情報なら、漏れても、悪用される心配はないのだろうか。
 リスクはあっても、ポイントがほしいか。
 一ヶ月間に同一区間を十一回以上利用すれば付くが、十一回に満たない場
合はポイントは付かないし、付いても、その割引率は回数券の時より劣る。
 百貨店で久しぶりに会った店員と立ち話をした際、この話をしたら、彼女
は必要な時に現金を入れ、ポイントは付かないが、それで良しとしているそ
うな。
 それでいいのよね。
 ところが。
 私は代替対応のICカードを券売機に入れた。
 受付カウンターでくれたパンフレットに掲載されているポイント計算例は
数字に弱い私にはすぐには理解できず、そのことも私を利用登録拒否へと向
かわせたのだったが、理解できないままでは嫌だという深層心理が働いたの
か、時折パンフレットを手に取り、眺めていると理解できたし、券売機での
登録方法も慌てずできそうな気がしてきた。
 そうなったら、実際に試してみたい。
 券売機に人がいない時を見計らい、カードを入れたのだ。
 が、すぐに後ろに人が来て、それも背の高い男の人なので、私の頭越しに
入力中の内容を見られるのではないかと困惑。でも、そのまま続行し、登録
を完了させた。
 初め、私は、無駄に個人情報が流出する機会を増やしたくない、ポイント
は付いても微々たるものだから固執しないと思っていたはずが、なんでこう
なった。
 ポイント付与の計算方法をさっと理解できなかったのがいけなかったのか
なあ。変に負けん気に火が付いた。
 今、プリンターで印刷しようとしたら、用紙の縦方向に黒い筋が入る。
 メーカーのホームページを見ると、中の二種類のユニットを出して清掃せ
よ、とある。
 慣れないことができる達成感は、なくていい。
 でも、やるしかない。
 ただいま身体が拒絶中。