マジックマウス

 充電し終えたマジックマウスを動かしても、iMac上でポインターが動か
ない。
 直近で何度かこの現象が起こっていたのは予兆だったかも。
 マウスの電源を落とし、再度入れ直しても、駄目。
 心を落ち着け、有線のマウスを引っ張り出してきた。
 こういうことがあるから、もう使わなくても有線マウスは断捨離できない
のだ。
 有線マウスでポインターが動かせることを確認して、アップルケアに電話。
 言われた操作を幾つか試し、修理か買い換えの二択しかないと告げられた。
 なんでも、マウスを充電する時ブルートゥース接続が解除され、充電後に
再度接続されるが、その際、不具合が起こることがあるらしく、今回がそう
だったみたい。
 冷蔵庫が壊れた時に、機械物は調子がおかしくなったら早く買い換えるべ
しと学んだ私に、新しいのを買う以外の選択肢はない。
 行きつけの家電量販店に電話。
 いつも担当してくれる人は休みと言われ、じゃあ、買うのは明日にしよう
か。
 在庫のある品番を教えてくれた。
 それは最新のマジックマウスで、アップルケアに相談した際、壊れたマウ
スと同じのを買った方が私のOSのバージョンとの相性の点で不安はないと
言われていたので、アップル・ストアのオンラインに電話。
 品番を告げるが、品番ではわからないと言われる。
 見た目はまったく同じなので、サイトの写真を見てもわからない。
 しかも、壊れたのはマジックマウス2で、最新のは単にマジックマウスと
いう名称ゆえ、名前からは新旧を逆だと判断したくなる。
 私が食い下がると、調べて、今売られているマウスは第三世代だと確認で
きたと言われ、私のOSにも対応しているというので、購入手続きを頼む。
 店に買いに行ってもオンラインで注文しても、入手が明日の午前中になる
のなら、仕事前に買いに出るのは気忙しい、と考えを変えたのだ。
 馴染みの店員には後日会いに行けばいい。
 けど、ならば、なぜ今日買いに行かない。
 有線マウスは動きがもたもたして、使いづらいのだ。
 注文を中止し、店に行った。
 帰宅し、新しいマウスに電源を入れたら、ここに至るまでの狂騒曲が嘘み
たいに普段の静けさが戻ってきて、改めて何も起こらないのが一番だと思う。
 バージョンアップも新しいアプリも、なしがいい。
 ところが、七月に来日したフランス人にアプリのダウンロードを
求められ、今回以上にあたふたさせられることになるのだった。