駒大苫小牧に思う

 規則ってなんなんだろう。誰が作って、なぜ守らなくてはならないん
だろう。君たち、そんな風に考えたことはないかい。
 選抜野球の去年の夏の覇者、駒大苫小牧三年部員が居酒屋で飲酒・禁
煙して警察沙汰を起こし、下級生の春の選抜出場を辞退させることにな
ったと知って、彼らの生の声が聞きたくなった。
 つまり、未成年の飲酒・喫煙の禁止というものについて、もしかして、
「しゃらくせー」とか、「訳わかんねー」とそっぽ向いてるんじゃない
か、ということである。
 大人が勝手に決めたルール。みんな、破ってるサ。
 こういう事態が起こると、必ず監督責任者が頭を下げる。監督は「自
分の責任」と言い、校長は「学校の指導・教育が不適切だった」と謝罪
したらしいが、学生達が人目につく居酒屋で騒ぎまくったという事実か
ら、問答無用のルールの押しつけしかなかったのではないかと勘繰られ
るのであった。だから、卒業式が終わると、ああ、これで規則にうるさ
い学校から解放された、と祝杯をあげに走った。
 要は、頭で納得できていなかったということである。
 なぜ。なぜ。なぜ。
 ちゃんと納得のいく説明をしてくれよ。理屈がわかれば、自分たちだ
って、それほど分からず屋じゃあない。でも、もし説明できないのであ
れば、そんなルールは守る必要ないってことになるだろう----私自身が
そうだったから、今の青年達も似たようなものだと考えるなら、だから
こそ、大人たちには自分の言葉で理由を語ってほしい。
 煙草については、喉が弱くて紫煙を深く憎んでいる私は、すぐに説明
を考えついた。困ったのは酒だ。二十歳前に酒と慣れ親しんではいけな
い理由……。だもんで、未成年に舞い戻った気分で、規則ってなんだ、
などと思ってしまったわけである。
 しかーし。
 煙草は体に毒。酒も、アル中へのスタートとなる可能性があるから、
急ぐ必要はない。その境界線が、この国では二十歳ということなのだ。
 二十歳で大人は遅すぎると言うなら、選挙権ができてから、法改正の
声をあげなさい。「学校を卒業して働き出したら成人とみなせ」とか。
 主張もせず、ルールも守らない、というのは一番卑怯な態度だよ。そ
のままいくと、君たちの未来は、心の底で軽蔑している今の大人たちそ
のものだよ。