コロナ・ストレス

 一日を長いと感じるか短いと感じるか。
 子供は、おやつ一つ取っても、
「うわぁ!」
 喜びを爆発させる。
 そういう事が数あるから、一日を長く感じるのだとか。
 確かに、やたらめったら感動するようなことはなくなった大人の私の一
日は、あっという間に過ぎる。
 が、遅寝遅起きも一因だという気はしている。
 夜、カーテンを閉めたあと、室内は蛍光灯の下、のっぺり同じ表情で、
時間の経過がわからなくなる。そうなって初めて集中力を要することに着
手できる日常になっている私は、朝六時やそれ以前に起きていた過去が信
じられない。
 遅い時は朝九時前まで寝ている。
 薬罐で湯を沸かして一日分のお茶を作り、鉄瓶で沸かした湯で紅茶とコ
ーヒーを入れ、朝食を食べ、洗濯など生活の事をしていたら、すぐに十二
時。
 これが朝六時の起床であったなら、三時間後はまだ九時。一日は始まっ
たばかりだと感じられよう。
 朝の開始が遅いせいで一日を短いと感じるのは、残念だ。
 しかも、夜は夜で、さあ、これから本腰を入れて、のはずが、そうでき
ない時がある。
 ワインを買った。
 このところ、私はバゲットでフランス風サンドイッチを作ることが増え
た。しっかりした歯応えに心が落ち着く。半分に切ったパンを背開きにし、
ハムやきゅうり、トマトなどを挟むだけだから、準備も後片付けも楽。
 チーズも好き。
 こんな私にはワインだろう。
 しかし、アルコールを受け付けない体質の私。
 果たして一杯目で、もうほろ酔い気分。
 三杯飲んだら、そのあと三時間ほどは酔いが抜けず、何かに集中するど
ころか、何もできない。
 酒は脳の機能を麻痺させると言うけれど、やっぱり暇潰しになるんだな
あ。
 することがなかったら飲めばいい。
 って、アルコール中毒者の発想ではないか。
 実際、翌日、日が高いうちから、
「飲んでもいいんじゃないの」
 と実行しそうになった。
 起床時間が三、四時間後ろにずれても人それぞれなら、夕食が三、四時
間前にずれても人それぞれのはず、ということだ。
 あ、思い出した。
 フランスの学校では、食堂に、教師が取っていいテーブルワインの小瓶
が用意されていた。
 ワインは水扱いなのか。
 でも、私はワインのボトルが空になったので、もう買わない。
 と言うか、私はなぜワインを買ったのだろう。
 自覚はないが、新型コロナウイルスのせいのストレスだったかも。
 たぶんそうだ。
 だって、次には私は目眩に襲われた。