三週間待てなくて

 時計の針を先週に戻してみる。
 木曜日。家で、私は、いきなり手持ち無沙汰になった。ibookが壊れ
たのだ。延長保証に入っていたので、ハードディスクの交換は無償でし
てもらえるけれど、戻ってくるまでに約三週間かかるという。
 私は、テクノ中毒ではないが、パソコンがノート代わりのヘビーユー
ザーで、半日だってないと困るのに、三週間も待てるわけがない。
 そういう人間は万一に備えて予備機を用意しておくものだと弟から教
えられ、最初の時は、中古で同じタイプのものを用意した。しかし、完
全に壊れる前にibookに乗り換えたため、予備機の出番は一度もなく、
かような行動形態をとるなら予備機はいらない、と学んだ。
 なのに、今回、予備機もないのに、壊れるまで次のを手配しなかった。
調子が悪くなったのは先月で、一ヶ月も猶予があったというのに。
 三周年目を迎えた途端、調子が悪くなったことを、私は素直に受け入
れられなかったのだ。
 と言うのも、三年前、デスクトップがほしかったが、私に合うものが
なく、三年ぐらい経てば出てくるだろうから、じゃあ、それまでの中継
ぎに、という考えで購入したら、考えていたとおりの展開となり、その
事実を認めたら、心の中で思うことすら現実になる、となりそうで、い
やだった。心の中にどんなマイナスの感情があっても、口に出さなけれ
ば、なんとかなる、というのでなければ、凡人は生きていけないではな
いか。
 まあ、それでも、先月、いつも買う販売店に電話で相談して、機種や
メモリ増設、新たに買い直すべきソフトなどの腹づもりはしてあったの
で、再度電話をして、即、注文した。自慢じゃないが、今まで私はパソ
コンは、物を見て買ったことがないのである。
 電話したのが夜だったので、残念ながら、手に入るのは、翌々日の土
曜の朝ということになった。よって、金曜日も見事に手持ち無沙汰。
 七月最後の週末はよたよたとでも動いてもらわなければならない個人
的事情があったが、もう、この際、潔くあきらめようか。
 土曜の朝到着しても、バックアップデータを移せば、すぐに使えるよ
うになるとは思えないし。
 その予感がいけなかったのか。
 この時もまた、予感どおりとなり、土曜日はパソコン環境を整えるの
で一日が終わった。
 ただし、まだ日曜日があったので、あきらめることは回避できた。
 振り返ると、密度の濃い時間だったなあ。