子供と週休二日

 個人的に英語を教えている子の親から、学校で親の会合があり、子供
の送り迎えができないので日を変えてほしいと頼まれ、できれば、五時
間目まで授業がない日にしてもらえれば、と言われて、小学一年生にし
て、いきなり、週に三回、五時間目まで授業があることを知った。
 なんか詰め込まれていないかい。
 私が子供の頃・・・と自分の過去を理想視するのは勝手な感傷になる
ことも多いので、当の子供達に聞いてみた。
「土曜日に学校に行くのは、どう」。
 いくら早寝早起き朝ご飯が推奨されても、小学生が塾から帰ってくる
のが九時、十時という現実。
 なぜ、かくも子供達は忙しい。
 土曜に学校があれば、平日の授業が減らせ、その分、毎日の放課後に
ゆとりが生まれそうな気がしたのだ。
 それに、土曜の午前中、子供から解放された両親は、しばし二人きり
の時間を楽しめるだろう。
 土曜の経験がない子は「友達に会えるから、行ってもいい」。
 途中で週休二日に切り替わった中学生や大学生は「土曜日に学校に行
くのは楽しかった。友達に会えるし、音楽とか、そういう授業が多かっ
たから、遊びみたいな感じだった」と懐かしく回想し、私が想像したと
おり、「土曜に授業があった方が、毎日にゆとりがあった」と言う子も
いる。
 学校の週休二日は、勤労者の週休二日制定着は公務員から、と公立の
学校に導入されたのが始まりだとか。 
 今年、二学期制が始まった中学校は、そうすれば試験日数が減らせ、
結果的に授業時間を増やせるからだそうな。
 そこまでして土曜日に休みたいかね。
 いや、大人は週休二日を死守すればいい。生活の糧を得るためだけな
ら、誰だって、働く時間は短いほど嬉しかろう。学校関係者は、教員を
増やし、ローテーションをうまく組めば、土曜日の授業を再開するのは
可能なはず。
 友達に会いたいという理由からであっても、学校が休みだとつまらな
いと思える、そんな幸せな子供時代はないのである。それを、もし、大
人の働き方に合わせて週休二日を強いられているとしたら、どうなんだ
ろ。
 だいたい、〃学び〃と〃労働〃は違う。「学ぶな」と言われても学び
たくなる人間に育てるのが教育。
 ところが、週休二日の思想は、労働と同じく、勉学も、土曜と日曜、
たっぷり休息してようやく、残る五日間立ち向かえるという認識を植え
付けているとも受け取れそうではないか。
 まあ、私としては、子供達が、おおらかな毎日を送ってくれているな
らいいのだが。