『神の手』雲。送ってくれてもいいけど

 ついに私にも来た。『神の手』メール。
 しかも、違う友達から相次いで。
 沖縄では、何年かに一度、雲が、神の大きな手のように見える形にな
ることがあって、その写真を幸せになってほしい七人、あるいはそれ以
上に送ると願いが叶うとか。
 こういう時、悪意も蔓延しているけれど、その気になれば、善意にも
辿り着けるのがパソコンの良さ。
 『神の手』で、すぐに多数ヒットした。
 合成写真のチェーンメール
 天気予報士の森田正光も、ブログで合成写真だと一刀両断している。
 やっぱりねえ。そんなに珍しいなら、何人もの人が写真を撮っただろ
うに、写真にバリエーションはなく、なぜか同じ構図の一枚きり。しか
も撮影日時もない。
 外国で終焉したのを、まだ処女地の日本ではやらせようと企んだ人物
が「幸せになる」の殺し文句を思いついたのは、日本人を熟知したマー
ケティング能力だと感心させられるのだが。
 それはさておき、私が冷静に疑問を抱けたのには理由がある。
 二通ともCCメールで送られてきたのだが、CC欄には、私の知らな
いアドレスがずらり。
 なんで、そんなこと、できるかなあ。
 友達のセキュリティ意識の低さに、まず苛立ったのだ。
 CCメールは、会議の日程や内容を出席者全員に伝える社内メールな
どの際、もっとも有効な手段となる。受信者同士が、アドレス欄で、こ
の相手にも情報が送られている、と確認できるため、情報伝達の重複を
防げるからだ。
 よって、アドレスがオープンにされる者同士が、互いにアドレスを知
っていることは大前提。
 そうでない相手が一人でもいるなら、CCメールを利用してはいけな
い。
 相手の許可なく、アドレスという個人情報を広めていることになるし、
そのせいで迷惑メールやウィルス感染したと言われたら、どう責任を取
るのか。
 フランス人の友からCCメールを受け取った時は、こんこんと説明す
る返事を書いた。しかし、今回は、また説明させられるのか、と思うと
気持ちが萎え、チェーンメールでもあることだし、完全無視。
 ところで、うちのマンションに半引き籠もりらしい変な男がいる。
 変でも、無害なら、普通に「こんにちは」「こんばんは」と挨拶すべ
きだ。
 わかっていて、できない。
 CCメールとの共通項は「非常識」。
 同じ非常識でも、無知でCCメールを誤用しているのと比べると、私
の場合は、わかっていて、しないだけに、罪は深いのよねえ・・・。