夏バテには、ダジャレ

 漁場を荒らすサメ退治のついでに、しとめたサメの肝臓から肝油作り
に着手したら、品質の良さが化粧品メーカーから引っ張りだこになって
いる漁師がテレビで紹介されていた。
 肝油の製造法も。
 サメの肝臓があんなに大きいとはねえ。
 だが、一番の驚きは、私自身に関してだろう。
 えっ。肝油って、サメなどの肝臓からとる脂肪油だったの。
 そんな風に驚くとは、なんの油だと思っていたのかと言うと、これが、
なーんにも思っていなかった。
 しかも。
 化粧品メーカーという言葉が出たおかげで、私が使っている化粧品メ
ーカーのスクワランは深海鮫の肝臓から抽出したエキスが元だったわよ
ね、と肝油とスクワランが結びついたが、そうでもなければ、これから
も、私は、肝油とスクワランを別物として認識し続けたであろう。
 わからなければ辞書がある。知っている人に聞いてもいい。
 しかし、直感で意味が感得できたら、一番ラク。それは、幼い子供達
言語学習方法である。誰にも馴染みの方法。ために、大人になってか
らも、それを活用して、実は本当には理解できていなかったり、大きく
勘違いすることが起こったりする。
 肝油以外にも、たくさん、ありそうだなあ。
 音楽の時間に「秋の夕日に〜照る山もみじ〜」の歌詞に続く「こいも
うすいも〜数あるな〜か〜に〜」のくだりを歌うたび、私は、小芋は食
べたことがあるけど、うす芋はまだない、どんな味だろう、と想像して
いた。
 真実に気づけたのは、いつだったか。
 だが、それだって、誰かに持論を披露して、訂正されて気づいたわけ
ではない。何かの折に、あっ、と自分で気がついたのだ。
 ところで、ダジャレだが、言葉を意味より音を優先させてとらえるそ
の方法をもっとも得意とするのは、言葉を覚え始めの若い脳。すなわち
子供達。
 ただ、山登りなどで疲れると、大人もダジャレを連発するそうで、疲
れた脳が子供帰りするからだろう、というのが脳のメカニズムからの推
測になるそうだが、それは納得できても、実際に、いい歳をした大人に
言われると、たとえ美形のフランス人であっても、あ〜あ、くだらない
親父ギャグ、と冷たく軽蔑せずにいられない。
 ダジャレは、やっぱり子供が一番。
 シャボン玉のように次々創作してくれて、感動ものだし。
 たとえば、小学生作。
「ふとんが、風でふっとんだ〜」
 ね。いいでしょ。
 ・・・。
 ダジャレ恋しい私は、暑さで頭が疲れているかなあ。