ラッキーは、素直に受け取る

 友が結婚した。
 彼女と結婚相手は、長年、単なる友達同士だったが、去年の年末に急
接近し、これから長距離恋愛になると思っていたら、妊娠が発覚。二月
に入籍して、四月に引越し、九月末が出産予定。その合間を縫っての結
婚式で、なんとも目まぐるしい展開だが、たらたらするのが似合わない
彼女らしい。
 それに、追い風に吹かれたなら、
「迷わず行け〜」
 は誰にとっても力強い運命からの後押しなのではないか。
 挙式と披露宴は、一日にひと組しか受け付けない観光地の会員制ホテ
ルで行なわれた。
 友は、挙式のあと、打掛けからウェディングドレスに着替えて披露宴
会場に現われると、お色直しなしでずっといたのがよかったし、披露宴
は通常よりも長時間で、食事を急かされないのがよかったし、私は二日
間で四百二十枚も写真を撮れて大満足。
 私だけは挙式の夜の宿泊をプレゼントしてもらったのだ。彼女の親や
親戚とも顔見知りの私は、彼女の母、妹と同室。
 ところで、泊まるとなると、困るのは化粧品だ。瓶ごと持って行くの
は重たいしなあ。
 と、化粧品のサイトに、あるページを印刷して持って行ったら、私の
行きつけの店で三日間のサンプルをくれると出ている。
 私が使っているのより高級なシリーズで、美容液まで込みの豪華なサ
ンプルを入手できたのが、最初のラッキー。
 次は高速バス。
 座席を指定して予約しておき、窓口で購入する際に、一番前の席が一
番見晴らしがいいと言われたが変更しなかったことを後悔していたら、
当日の朝、空席だったので、そこに座れた。
 披露宴中の好運は、私のカードが読まれたこと。
 招待客は新郎新婦への質問を書かされたが、読み上げるのは数枚だと
司会者が言い、
「えー。やっと捻り出して書いたのに。全員のを読んでくれないの」
 私は口に出して不満を言ったのだったが、司会者に、次で最後、と言
われて新婦が抜き取ったのが私がカードだった。
 願えば叶う。それも即。
 ちょっと慌てさせられたけど。
 ラッキーの極めつけは、披露宴のあとだ。
 フロントに貴重品として預けていたバッグを受け取る際、ビニール袋
も渡された。私のではないと意思表示するも、引き取ってもらえず、私
の物に。
 中には、山椒の商品が三つ。誰かが買ったお土産のようだ。それが私
に巡ってきた。
 神様からのプレゼント。
 神社にお参りしたのはその翌朝だから、お参りしたご利益ではないは
ずだが、なんにせよ、ラッキーは素直に受け取る。
 これも、生きる極意だと思う。