髪質に合うシャンプー

 フランスの知人から、シャンプーや日焼け防止スプレーなどが送られ
てきて、困惑した。
 髪質も肌の質も違うからだ。
 でも、使っていたシャンプーが切れたら、とりあえず使ってみるのが
「もったいない」精神の私。
 呆然とした。
 私は天然パーマ。
 セバスチアン・フォランは、フランスのTF1というテレビ局で気象予
報士をしている一人だが、ニュースの最後に何十秒間か、予報をダイジ
ェストして話すコーナーがあり、一度、真冬に戸外から中継された時、
外の暗さと同化する彼の漆黒の髪が、普段以上に逆立って、つまり爆発
して、まじめな顔をして視聴者をじわじわ〃笑かそう〃と企んだのね、
と思いかけたら、単に風に煽られてそうなったみたい。
 私は、カールした髪の男の人が無条件に好き。私の中で天使のイメー
ジだからかもしれない。でも、金髪や茶色の明るい髪の色を最低条件に
しようと、その時、決めた。
 でも、まだ不機嫌は消えない。
 滅多にドライヤーを使わず、髪も染めない私は、人の目には彼のよう
に映っているのかと不安だったが、一層不安が掻き立てられたのだ。
 彼や、ほかの天然パーマの人達のことはわからないが、私は、ヘアサ
ロンの高価なシャンプーを使っても、髪質に変化を実感できたためしが
なかったものだから、Loveaのシャンプーを使って、驚いた。
 髪を乾かしたあと、手櫛がすーっと通る。
 翌朝も、手で触れた感触が優しい。
 特筆すべきはパラベン不使用というぐらいで、値段も200mlが3.98ユ
ーロ(現在1ユーロ=約129円)。ごく普通のシャンプーと言っていいだ
ろう。
 私の髪質に合っているのかなあ。
 感激も束の間、悩みに襲われた。
 ようやく、コレ、というのに巡り会えても、日本じゃ売っていない。
フランスのメーカーから取り寄せたら14.99ユーロですって。却下よね
ェ。
 すると、髪の汚れは油脂であり、脂は油で落とすのが一番、というテ
レビ番組を見た。地肌をマッサージしたあとの、髪の付け根のなんと綺
麗なこと。 
 これをシャンプー前にプラスしたら、なんとかなるかも。
 早速、椿油を買ってきて、マッサージ。
 うん。なかなか良い感じ。
 それで、調子に乗ったのか。
 ネールアートに無関心で、これ以上ないぐらい安全に短い爪なのに、
おでこのすぐ上の地肌が、ブラシを当てると痛い。
 手で触れただけでも痛い。
 指先がそこに集中したんだろうけど、熱中しすぎは駄目、と学びまし
た。