正論? いちゃもん?

 今日で、今年の六分の一が過ぎたことになる。
「ひゃあ、時間の経つのがどんどん早くなるゥ」と感じるなら、立派に
歳を取っている証拠だとか。
 人は歳と共に新陳代謝の速度が鈍るが、それを正しく自覚することが
できない。
 で、生命の回転速度が時間の速度に付いていけなくなると、「なんか
時間の経つのが早い。ますます早くなる」と感じることになるらしい。
 知人は「うわぁ。ショック」
 私はにんまり。
 近頃忙しくて、なかなかコレに着手できないのは、能力が落ちてきた
せいではないとわかったんだもの。
 さて、私は、二月二十日に日本航空上場廃止が決まって以降の朝日
新聞に密かに注目していた。
 再び、日航株に関する投書が掲載されることはありや否や。
 一月半ばに日航株がストップ安になると、まず一件掲載された。
 翌日も一件。
 しばらくしてまた一件。
 二月に入ると、またまた一件。
 半月のあいだに四件も投稿が掲載された。
 多すぎないか。
 しかも、要約すれば同じ意見。
 株を買ったのが自分か身内かの違いはあるものの、優良企業と信じて
買ったのに、大損という事態に直面し、そりゃあ素人が株に手を出した
のが間違いの元だとわかっちゃいるけど、わたしゃ聞きたい、非は本当
に買った本人だけに帰されるべきか----。
 困惑させられるのは「自己責任だとわかっている」ときっぱり明言し
ておいて、「でも、本当にそうなんでしょうか」で締めくくられること
だ。
「欲に駆られて、知識もないのに素人が手を出し」とくれば、「案の定、
大失敗しました。てへへ」となるのがフツーではないのか。
 謙虚さを装いつつ、自分は悪くない、と言いたげな文脈に言葉を失う
わけだが、だいたい、そう主張することで何を目指したいのだろう。
 同情論が広がって、なんらかの救済措置という話にでもなればいいと
いうことなのかなあ。
 わからない。
 が、一番わからないのは、そういう意見を紹介するなら一つの投稿で
事足りたるものを、四つも連打した朝日新聞の真意だ。
 本ばかり読んでいたら人が馬鹿に思えてきて、人を見下すようになり、
読書の趣味なんか持たなければよかったという投稿の場合、人を馬鹿に
する性格と読書は別次元の話、というようなまっとうな反論を最低二件
は掲載し、偏りのない意見掲載という王道に立ち返ってくれたのだが。
 日航株主の泣き言に関しては、異論反論すら大人げない、と投稿が来
なかったのかも。