筋肉は恥ずかしがり?!

 来月、フランスから友が二人来日する。
 一人は仕事が目的で、ほとんど東京で縛られることになるが、もう一
人は完全に私的な旅行。わざわざ時期を合わせた二十日間ほどの旅なの
に、彼女の飛行機はパリ〜大阪の往復便。以前、京都に一ヶ月ほど滞在
したこともあるそうだし、よほど京都が好きなのだろう。東京に滞在す
る友が仕事から解放される数日間は、ぜひ京都に来てもらい、京都を紹
介したいとか。
 私も空いた時間に付き合ってくれたら嬉しいと言われ、奈良にも行き
たいと言うので、スカイプで話しつつ、奈良の私の定宿のサイトを見た
ら、早期に予約すると何室かを最低料金で提供してくれる「早割」の残
室がなくなる一歩手前。急ぎ、話し合い、即、確保した。
 彼女は、奈良などへの小旅行以外は、大阪の一つのビジネスホテルを
ベースキャンプにするつもりで、スカイプを切ったあと、彼女が予定し
ているホテルの名前を書き、どう思うかと私の意見を問うメールを送っ
てきた。
 私も名を知るビジネスホテル。
 インターネットで、そこの「早割」も彼女の滞在日程に有効になると
確認できたので、朝食の有無で値段が変わるというような説明を書き、
早割カレンダーのURLを貼り付けた。日本語は読めなくても、カレンダ
ーの日付けと値段の数字から、正しく解釈してくれるであろう。
 私と一緒にどこを訪れたいかは、会ってからでも間に合う話ではある
けれど、彼女の希望がある程度事前にわかっていれば、無駄に迷う時間
をなくせるので、大阪・奈良・京都の、たぶんフランス語のガイドブッ
クに載っていなさそうな情報と私のお勧めスポットを、ついでに書いて
送ることにした。
 日本人に読まれることしか想定していないサイトでも、イメージがつ
かめる画像があれば参考になる。そんなサイトのURLを貼り付けようと
探し始めると、結構、時間を取られる。
 おなかが空いてきた。
 でも、食べている時間がない。
 二日後に再度スカイプで話すことになったので、その時までに送って
しまおうと勝手に決めたせいなんだけど。
 ついに、空腹が、無視できないほど暴れ出した。
 昨夜の残りの炊き込みご飯を、母が一膳ずつふんわりラップで包んで
くれていたので、それをそそくさと頬張ることで、一回分の食事に当て
た。
 人間って「食べ溜め」ができないんだなあ。
「寝溜め」も。
 ところが、筋肉が衰え始めても、体は悲鳴を上げず、緊急事態を訴え
もしない。
 不思議だ。