外国に住む時

 前号を読み返して、またまた、
「あ・・・」
 ブログが炎上。「封鎖されることに」は「閉鎖されることに」が正し
いニホン語だし、
 押し寄せる「移民の」は「移民を」であるべき。
 これらは、書いたあと修正や加筆をしたくなるという以前のミスであ
る。
 あ〜あ。
 個人的に英語を教えている家庭で、母親が仕事帰りにコンビニで弁当
を買ってきてくれた。が、子供三人が揉めぬよう同じのを買いたかった
が、
「売り切れてなかってん」
 と母親。
 私は納得。
 しかし、下の二人が、
「それやったら、買ってきてくれたらよかったのに」
 と声を揃えるから、へ・・・?
「売り切れて、なかってん」
 と母親が言ったのを、
「売り切れていなかった」
 自分達の期待を込めて、そう理解したのだ。
 この時は、彼女達の反応が、悪びれなさすぎ、かつ、あり得なさすぎ
て、どこかで糸のもつれが発生したはず、と推察。解決できたが、普通
は、妙なことを言う、と思っても、そのままやり過ごす方が多い。相手
の言葉をいちいち、「あなたが言いたいのはこういうことなんですね」
と念押しするのは、それこそあり得ないから。
 が、言ったり書いたりしたことを、違うように受け止められて人間関
係が悪化することもあり、言葉は難しい。
 でも、言葉は人の証し。
 ヨーロッパの移民達のあいだで、フランスは人気がないそうな。
 理由は、英語を理解してくれないし、役所の手続きが手間取りすぎる
からだとか。
 一方、ドイツは、
「この国に来て未来が開けた、お前も来いよ」
 過去に移住した親戚達からの誘いが、人から人へと伝わった模様。
インターネットの登場で、情報拡散のスピードは過去の比ではなくな
ったのだ。
 移民達は言う。
「言葉を覚えて、仕事に就いて」
 彼らの楽観を、そう楽観できる自信を素直に羨ましいと思う私。
 学生時代に外国語を勉強して、その国でとりあえず何か仕事ができる
かなあと考えたら、自分の国なら一番手っ取り早いウェイトレスのアル
バイトですら、私にはできない、と気がついて愕然としたことを思い出
すのだ。
 注文の言葉がわかるだけでなく、どんな客の言葉にも応じられる言語
能力。
 仮に仕事と日常生活に不自由しなくなったとしても、会話の中に「二
等辺三角形」とか「光の屈折」という言葉が出現したら、即、お手上げ。
 自分のことを知性に劣る人間、ひいては人として劣る、と感じそうだ。
 外国で骨を埋める、と覚悟する時、人はどのレベルの言語習得で満足
できるのだろう。