来年の手帳

 お菓子や即席ラーメンの袋を開ける時、縦方向にしか開けられないよ
う作られたものが多くなっている気がする、という話を、前回、書いた。
 縦方向に開けるのは、中身が外に溢れ出るから、好きになれない。
 それに、縦に割くしかないにしても、その破片が本体から離れるのは
どうなんだろう。ゴミ箱のない自然の中だと、その破片をポイ捨てして
よし、と暗に勧めていることにならないか。本体から絶対に離れないよ
う開けさせる技術ぐらいあるだろうになあ。
 これは水平に開けさせる場合も同様で、やっぱり古典的な開け方が一
番、と思うのだった。
 袋の上の中央部分を引っ張って開ける方法である。
 今でも、まずはそれを試してみる。破片はでないし、保存するにも問
題がない。この最上の開け方で、今まではほとんどの袋が開けられてい
た。
 なんで、それが否定されることになったのだろう。
 わからない。
 わからないと言えば、手帳もそう。
 十月スタートの手帳にカレンダーそのままを手帳の形に縮小したもの
を選んで、困惑した。月曜スタートだったのだ。
 フランス人の知り合いが、毎年、カレンダーを送ってきてくれる。月
曜スタートだ。でも、日本のカレンダーは日曜スタートなので、併用す
ると、頭が混乱させられる。
 フランスは、カレンダーも手帳も月曜スタートで統一されていて、実
にすっきり。
 私はフランスに住んでいないし、カレンダーは日曜スタートに馴染ん
でいるので、結局、手帳を買い直した。
 今年のと同じ週間縦軸バーチカルタイプ。フランスでこの形式に出会
って惚れ込み、使いづらいと思って、今年、永遠の卒業を決めたはずだ
ったのだが。
 私にはこれが合うのか。
 けど、あれっ、これも月曜スタートだ。しかも、ひと月ごとのカレン
ダーも月曜スタート。
 なのに違和感を感じなかったのは、どうしてだろう。
 カレンダー形式だけでできている手帳ではないからかなあ。
 なんていい加減な私、私の脳・・・。
 それにしても、今年の手帳は嫌だと思ったのに、同じ中の仕様の来年
用のは気に入ったわけで、どんな違いがあるのだろう。
 とくと見比べてみた。
 来年用の手帳は、中の紙が漂白されたように真っ白。どうやら、私は、
黄ばんだ色より真っ白の方が心が浮き立つみたい。
 失敗を重ねて気づく、無意識の好み。
 と、その手帳を見て、
「菊さんらしくない」
 と驚かれた。
 キティちゃんの型押しの、ピンク色。
 えっ。手帳は、中の使いやすさで選ぶんじゃないの。