ジャニーズ事務所の会見

 九月七日、ジャニーズ事務所の会見を生放送で見た。
 最後の方は見られなかったので、東山紀之と井ノ原快彦(よしひこ)にあ
なたたちも被害者かという質問が出たという場面は見ていない。
 会見後は、いつもどおり、ネット上にいろいろな人のコメントが載り、読
む気はなくてもさらっと見ると、具体的な内容がなかったと言う人、良い会
見だったと言う人。
 でも、結局は、名の知れた人達の個人的な感想が文章になるだけで、それ
よりも自分はどう思ったかが大切だと思う。
 とは言え、より深く内情を知っている人の言葉は、同じ感想であっても頭
一つ二つ抜け出た意見となる。
 イギリス貴族の末裔が邸宅から遙か彼方を指差し、あそこまでがうちの地
所だと話すのを見て、なんでそう言い切れるのだろうと不思議だったが、緩
やかな土地の隆起や木立や流れる川の位置が目安になって間違えることはな
いのかなあと勝手に想像していた。
 ところが先日、イギリスの庭園の歴史を紐解く番組を見た。
 それまでは庭と言えば左右対象、幾何学的に樹木を刈り込むものと決まっ
ていたが、一人の庭師の出現で、初めから自然がそうであったかのような庭
に大きく切り替わったらしい。
 川の流れを変え、穀物倉庫を移動し、さる貴族の地所では理想のために村
をまるごと移転させたとか。
 そうやって造られた光景はあまりに自然なので、人の手が加わっていない
ように私の目に映ったのだ。
 でも、正しい情報を知れば、間違いは是正される。
 いじめられた方は一生忘れないが、いじめた方は忘れるというのもその一
つ。
 誰かからちょっといけずされただけでも嫌な気分になり落ち込むのだから、
いじめの被害に遭ったら、そりゃそうなるだろう、と頷ける。
 で、東山紀之だが、彼の後輩が彼からパワハラ、セクハラを受けたと著書
の中で書いているのは本当かとフランス人記者に質問され、東山は、
「事実ではないと思う」
 と即答。
 ただし、本は読んでいない。
 再度この件が出ると、もう思い出せないことも多いと彼が答え、私は加害
者は大抵こう言うなあと思ったのだった。
 そして、
「若気の至りだった」
 と言葉が続くと、彼に聞いてみたい質問が思い浮かんだ。
 じゃあ、あなたは、小中高で同級生をいじめる者達を、若さゆえ、と擁護
するんですね。
 揚げ足取りではない。
 心にないことは言葉にならないけれど、この言葉は、聞き逃すには重く、
しっかり議論すべきだと思うからだ。