シャーペン

 シャープペンシルと相性が悪い。
 万年筆で書く時みたいに斜めに持って書きたいからだ。
 芯がポキポキ折れる。
 すらすら書く十代を観察すると、シャーペンを真っ直ぐ立てている。向こ
うから手前に倒して書く猛者もいる。
 シャーペンの構造上の必然なんだろうけど、美しくない。
 そう言う私もボールペンなどは立てて書くことを受け容れいているので、
シャーペンにだけ辛口になる理由がわからないが、シャーペンは鉛筆の延長
線上で同類だと思うからかもしれない。 
 狭い枠内に書くために、初めて0.3のを買った。
 0.3と0.5を併用する。
 どちらを使う時も、最初の一文字を書き終わる前にポキッと折れる洗礼を
浴びたのち、力加減に留意することで、なんとか書き切る。
 その日は、ポキポキ折れるだけでなく、中で芯が詰まり、書けなくなった。
 シャーペンの先っぽの部分を取りはずすと、思った通り、これから出る態
勢にあるのは一本の芯だけのはずが、二本重なりチャック部分で渋滞してい
る。
 取り除いたら、0.5の方は元に戻った。
 0.3は駄目。
 このシャーペン、本体部分に何かのキャラクターが散りばめられていて、
それが何かはわからなかったが、全体を眺めた時にデザインがいいと思い買
ったのだが、私が書こうとすると、
「あ、ヒロアカ!」
 と高校生が声をあげたので、『僕のヒーローアカデミア』なる漫画のキャ
ラクターだと知った。家に帰って調べてわかったんだけど。
 私はヒロアカと知らなくても惹かれて買ったが、そうと知って買い求めた
若者と比べたら、喜びの熱量は彼らの足もとにも及ばなかったかもしれない。
 それでも、私は私なりに気に入っていた。
 期間限定のコラボ企画なので、もう売っていないし。
 なので、高校生に見てもらったが、やっぱり治らない。
 寿命と諦めるに忍びなく、メーカーに相談。
 原因を調査した報告内容が送られてきた。
 それを読んだら、穴があったら入りたいとはこのことだと思った。
 芯タンク内に入っていたのは0.3が一本で、残る四本は0.5だったらしい。
 そりゃあ、芯を取り除いても、シャーペンが芯を繰り出そうとして0.5を
し出したら、また芯が詰まって当然だった。
 間違った芯を入れただなんて、初歩以前のミス。信じられない。
 こういう体験をすると、人のミスに寛大になる。
 けど、遠い住所の人宛のゆうパックが外に放置されているのを見た時は、
悩んだ。