日記で思い出す

 薬を置いてある一画に、大量の漢方薬が入った薬局の紙袋を見つけた。
 一日朝昼晩三回で二ヶ月分の処方だったら、このぐらいの量になる。私は
ほとんど服用せず、放置していたようだ。
 薬の名前を見るが、なんのために処方してもらったか、思い出せない。
 調べればわかるけれど、随分前の薬なので捨てた方がよかろう。だったら、
調べて、無駄に頭に負荷をかけることはない。
 捨てた。
 翌日、
「菊さん、四十肩になったことがありますか」
 職場で聞かれた。
「ありますよ~」
 私は右肩で、物干し竿に手を伸ばすと痛っと思うし、腕が肩より上がらな
い状況がかなり長く続いたと話す。でも、気づいたら治っていました。
 そして、彼女の前で、久しぶりに背中で両手の指を触れ合わせてみたら、
右手を下から回す時は上腕部が少し痛く感じたので、まだかすかな後遺症は
あるとわかった。それでもちゃんと指と指が触れ合ったので、回復直後より
一層回復が進んだと見ていいだろう。
「私は春からなんです。それも両肩で、寝ても痛いんです」
 それは私にはなかった。
 でも整形外科に行かなかったが一年ほどしたら治っていたと伝え、この話
は終わった。
 が、家に帰ると調べた。
「四十肩」と入力してパソコン内のファイルを検索したら、この日記の過去
の号がヒット。
 あっ、私は二度経験していたんだ。
 腕を捻るストレッチを頑張って発症した二度目の方が症状が長引き、その
記憶が強くて、この一回のみだと思い込み、同僚にもそう話してしまった。
 この時に漢方薬を処方されていたらしく、調べたら、それが前日捨てた漢
方薬だった。
 結局、調べて解明することになったわけである。しかも、捨てた次の日に。
 また、真冬に寝る時『あずきのチカラ』の首肩用を使い始めたきっかけは
覚えていなかったが、肩を温めるのはいいかと漢方薬を処方してくれた担当
医に問うと、良い、と言って、これを勧められたのだった。彼は、眼精疲労
対策に目元用を使っていた。
 書いてあるのを読み返すと、詳細を思い出せる。
 日記は、未来の自分のために役に立つこともあるんだなあ。
 昔の人が、やっぱり誰のためと言うこともなく、ただ書きたくて書いてい
たら、後世の人が当時の時代考証をするための重要資料になったりしている。
 ということで、今日のささやかな発見。
 洗濯物を取り入れたら、洗濯ばさみに黄緑色のカメムシが付いてきた。
 絶句。
 だって、今はもう十二月。