親切ごかし

 この二週間ほど、喋ろうとすると咳が出る。
 アレルギー症状が悪化した。
 そんな中、叔母から電話。
 去年の十二月に、関西電力から、電気使用量のお知らせはインターネット
での確認になるので手続きを、もし今後も紙を希望の場合は毎月百十円加算
になる、と連絡が来たと相談があった時、これを機に大阪ガスでまとめて支
払うことにすれば、
「うちはそうしてるよ」
 と私は言った。
 が、大阪ガス指定の担当者の試算によると、使用量が少なすぎて、まとめ
たら若干割高になる。
「しばらく様子を見たらどうですか」
 と言われ、迷ったけれど、私と話をしているうちに、紙の発行手数料の場
合と比較して年間コーヒー一杯ぐらい高くなるだけなので、大阪ガスでまと
めると決め、担当者に依頼して手続き完了。
 今回はその件の続きだった。
 少し前から〇一二〇で始まる番号で電話がかかってくる。
 担当者に大阪ガスから確認の電話が来るかもしれないと言われていたとい
うので、だったら出るべきだろう。
 実際、息子の妻に話すと、調べて、
大阪ガスの番号です」
 と言われ、息子は、
「何かあったら僕が責任を取る」
 と言ってくれたという。
「でも、さっきは〇六から始まる電話がかかってきた」
 私は叔母と話しながらパソコンで調べていて、それも大阪ガスの番号だと
伝えた。
 すると、娘に、知らない番号の電話には出ないように、出て、何かあって
も知らないから、ときつく言われ、
「だから出るのが怖い」
 と言う。
 叔母の娘すなわち私にとっての従妹は、彼女自身、登録していない番号か
らの電話に出ない。そのせいで、私が家の固定電話から電話した時、五時間
ほど断続的に電話するも全然出てくれず、何か遭ったのか、と不安にさせら
れたのだった。
 登録していない番号とは言え、かかってくる予定の大阪ガスの番号だとわ
かっても、それでも無視するのが賢明なのか。
 大阪ガスは困るだろうなあ。
 万一の時は息子が責任を取ってくれると言っているのに。
 叔母は、私と話して安心できた、次にかかってきた時は出る、と言った。
 ここに至るまで一時間。
 それはいいのだが、途中、
「菊さん。えらい咳してるね、水飲んできたら」
 叔母が突然言い、私の体調が気がかりだと言いたかったのかもしれないけ
れど、さっさと話を切り上げる気はないのなら、そんな親切そうな言葉を言
われても、私は困惑するだけ。
 本当の親切とは違うから。
 私は心底イラッとした。