今日は土曜日、嬉しいなあ。
 しみじみそんな気持ちになるのは、週末は株取引きがないからだ。朝
一番からニューヨーク市場や為替の動向を見る必要がないし、夜も、国
内市場のデータを収集しなくてすむ。週末がこれほど解放感に満ちて感
じられるようになるとは思いもしなかった。
 そんな風に感じること自体、素人ということなのだろう。
 まさしく私は勉強中で、デビューはまだ。果たしてデビューする日が
来るのか、という気がしないでもない。
 なんせ、もし文系に進めなければ、理系は現実味はあるが、まかりま
ちがっても経済学部と商学部だけはあり得なかった私は、未だに円高
円安の影響を取り違えそうになる。
 それでも、これほど世間で話題になれば、私にも好奇心は芽生えよう
というもの。去年の今頃、初めて株の雑誌を買った。一冊、二冊……。
わかりそうで、わからない。
 これはやっぱ、ちゃんと本になったものを読むべきだな。で、図書館
から本を借りてきたら、文体やらストーリーを楽しむ小説とは違い、マ
ーカーなどで線を引いて覚えなければ身につかない。ならばと本を購入
したら、もう九冊目。出版年度の若い本を数冊読んでスタートしたとい
う達人たちとは頭の出来が違うことを再認識させられた。「自分なりの
世界観ができたら儲けられるようになる」と彼らが言う“世界観”ある
いは“スタイル”を私も早くつかみたいんだけど。
 いや、焦る必要はあるまい。値が動いていれば稼げるので、株を始め
るのにいい時期、悪い時期はない、とも言ってくれているし。
 これがきっかけで、新聞の経済面に目がとまるようになっただけでも、
すでに、私にとっては長足の進歩なのだ。資本主義社会に生きていなが
ら、無関係のふりで一生を終えるしかなさそうだった私が、最低限度の
市場原理を学べることになったのだから。
 ところで、四月末に株式投資信託の残高が過去最高水準に達したそう
だが、株のみならずお金関係の著者の全員が全員、これだけは「おやめ」
と進言し、営業妨害で訴えられないのは、その否定理由が正当だからだ
ろう。
 ああ、もっと前に彼らの言葉に出会えていれば。
 私には、公社債投信でなくても大丈夫、とあらぬ根拠で株式投信に投
資し、九万円の損失を出した過去がある。