フツーの婚活

 先月、友達が結婚した。
 そして今日は誕生日。四捨五入すれば立派に四十となる三十台後半で
ある。
「おめでとう」とメールを送ったら、今日はダンナが休日出勤なので実
家で晩ご飯を食べて帰るという返信。
「正直言うと、実家に帰るとホッとする」
 まあ、結婚一ヶ月ならそういう感想だろう。
 彼女は、ダンナと、結婚相談所を介して知り合った。
 そこは会員の自主性を尊重するのが方針で、コレと思った相手に自分
の方から連絡を取らないと、時間だけがただ虚しく過ぎることになる。
 でも、何を基準に選べばいいかわからない。
 初め、彼女はそう言っていた。
 が、二人姉妹の姉という立場上、いずれは自分が親の面倒を見ること
になると予想していて、実家に近い所に住みたいと思っている自分自身
の気持ちに気がつき、転勤がなさそうな相手を選んで面会を申し込んで
いった。
 しかし、会うまで至らず断られることも多々。
 会ったあとなら、彼女から断る場合も、相手から断られる場合もあっ
て、平等な確率になるのだが。
 かと思えば、一度断ったのにまた申し込んでくる人がいる、と言うの
で、
「どんな人?」
 と聞くと、相手は五十半ば。
「あり得ないでしょう」
 うーん・・・とってもあり得ると思うけど、と心の中で私。
 口に出しては、
「加齢臭が気になる年齢ではあるわねェ」。
 すると、
「そうなのよ。結婚する相手がもう加齢臭だなんて、ゾッとする」
 そうかあ。人による、という温かい眼差しはゼロなのね。年齢だけで
十把一絡げに断罪してしまうんだ。
 けど、その同じ物差しでアナタも篩い(ふるい)にかけられているん
じゃないのかな。
 理不尽だと思うかもしれないけど、アナタが釣り合うと思っている二、
三歳年上の男性は、アナタより十歳年下ぐらいまで普通に射程距離にし
ているんだよ。
 しかも、そのぐらい歳が離れていてもいいっていう女の子もいる。そ
ういう子達と張り合わなくちゃいけないんだよ。勝てる自信はあるの。
 実際に親子ほど年齢差のある相手と結婚して幸せに暮らしている友達
のことも話した。
 私の言葉の何が彼女の心に響いたのであったか。
 彼女は、最終的に、ひと回り上の相手をダンナに選んだ。
 ダンナは、希望欄に「家にいてくれる人」と書いていたそうな。
「そんなラクをさせてもらっていいのかなあ」
 彼女は戸惑っていたようだけど。
 いいのよ。
 お姫様みたいに大事にしてもらえばいい。
 年の差夫婦なんだもの。