2017-01-01から1年間の記事一覧

ある初老の母親と息子

エレベーターに乗らず、重い鉄の扉の向こうの階段を降りることにし た。健康は、こつこつ、積み重ねである。 目の前に、小柄な初老の白髪女性と、厳ついからだで眼鏡の若い男が いた。男が苛立ったようにまくし立てている。二人が踊り場に立ち尽く している…

会うって大切

今回離婚を前提に別居を実行しかけた友とは別に、過去にも「もう離 婚する」と叫んだ友がいる。 彼女も遠方に住んでいるので、電話で彼女の言い分を延々聞かされる 状況が続いていたが、生きる世界が狭いと重箱の隅を突くようなことで 自分の思いどおりに行…

自分探し

厳密には、飛行機の中で耳の内と外で気圧が違った時に唾を飲み込む ような動作をする、と言うより、右耳そのものを動かそうとしてみる、 と言った方がいいかもしれない。人の目には何も起こっていないように 見えても、私の右耳の中ではクチュクチュ音がする…

扁桃腺炎

耳鼻咽喉科を受診後、薬局で薬を受け取る時に薬剤師から病名を聞か れたが、答えられない。医師から病名を告げられて、大人の私がそんな 病気にかかるなんて、と思ったせいか、記憶に定着する前に忘れ去った のだ。 薬剤師がめぼしい病名を挙げる。 「もっと…

買い物、病院、買い物

病院に行く時は、病院に行ってから買い物をする。 今回、右耳の中が異常に痛くなり、インターネットで耳鼻咽喉科の予 約番号を取ったら十三番。朝、九時半の診察開始後一時間以内には私の 番が来るだろうから、この行動パターンがもっとも効率良くなりそうだ…

命を削って生きている

前回、タイトルを書く際、「休みに似たり」であっているかなあ、と 不安になり、調べた。手っ取り早くインターネット上だけだが。 それは「休む」が正しいとわかったが、「アホの考え」が出てこない。 「へたの考え」がもともとで、それが「馬鹿の考え」に変…

アホの考え休むに似たり

ステンレス製の腕時計は、バンドの長さ調節が必要。 支払いを済ませたあと、ほかに行く場所があったので、とりあえず私 の腕に若干ゆるい程度の長さで調節しておくから、私が帰りに立ち寄っ た時に正しく調整しましょう、ということになった。 夕刻、準備さ…

腕時計で自己発見

腕時計の文字盤は、針が指す十二箇所がすべてシンプルな棒状でいい、 というのが私の好みだが、もし、アラビア数字であれローマ数字であれ、 そういうのがあるべき理由がわからない、と言ったら、私の趣味の押し つけになる。でも、心密かにそう思っている私…

腕時計を買った

友達に一緒に百貨店の時計売り場に立ち寄ってもらったら、ちょうど 私が迷っている二つの電池式の腕時計の男物があったので、私がそれを 持ち、少し離れ、友に、どっちが良いか聞いた。 友は迷いなく、金の針で三気圧防水のを指差す。そちらの方が売れて い…

腕時計を探し続ける

百貨店に行く前に、インターネットで下調べはしてあった。 だが、ホームページで見ていた時は直観的に好きなデザインを選んで いただけだったと、売り場で実物を見て、わかった。私は、腕時計の文 字盤上の十二箇所は、全部棒状のシンプルなのが好き。 家に…

腕時計を探す

腕時計が壊れた。十年が寿命と言われる十年目。しかも、と言ったら 怒られそうだがスウォッチで、雑に扱ってきたのに天寿を全う。感謝で ある。 ケータイの時計機能で代用したいが、腕にサッと目を走らせればいい 腕時計には勝てないしなあ。 そんな消極的な…

ニホン人は泊めたくない

民泊をしている友が言った。部屋を一番汚く使うのはニホン人だと。 戸を開けた途端、床一面にゴミが捨てられていたりして、よくここま で汚せるのものだと驚くそうな。 で、思い出した。 パリのアパルトマンを引き払って帰国する際、ニホン人向けの新聞に 家…

美味しければ

きのう、母親から、ばら寿司を買ってきてくれと頼まれた。 刺身の柵を買ってきて、ばら寿司まがいの物を作ろう、と思っていた のにな。 そのイメージが頭から離れなかったのか、本マグロを中心に海鮮がふ んだんに散りばめたのを買ってしまい、普通のお雛様…

屋内より路上禁煙

私は、アレルギーで定期的に通院している。 アレルギーだと判明する前は、風邪のような咳が続くし、美容院に入 った途端、咳が出続け、悲惨だった。 漢方薬を処方してもらってからは、そういうことはなくなったが、匂 いに過敏な体質が治ったわけではない。 …

昼食抜き特訓?

私は、この世に野球がなくても生きられる。 でも、イチローが哲学的とも言える言葉で話しているのを見聞きする と、雑誌ならちゃんと読むし、テレビならちゃんと観る。 だから、私に完璧に無縁なスポーツ、というわけでもない。 そんな私のアンテナに久しぶり…

「今」以外はない

知人が『嫌われる勇気』を読んでいると言った。だが、なかなか読み 進められないと。 私は「え、なんで」と言いそうになったが、黙って頷いた。 ピケティの『二十一世紀の資本』が話題になった時、とりあえず図書 館で借り、これはいつか時間ができた時にじ…

その理由は、自己都合

人は「なぜ」と聞くし、聞かれたら律儀に答える。 遅刻したのは電車が遅れたせい、学校に行かないのはインフルエンザ で学級閉鎖だから、というように因果関係が明らかな場合も多いが、 「なんで、あの人が好きなん」 というような質問は、同じ仲間の「なぜ…

解釈の海

たまに昆虫に新種が見つかる。 今まで発見されなかっただけかもしれないが、自然環境の変化に応じ て簡単にからだを変えられるのかも。 翻って人間は。 服で身を守り、それでも足りずに空調で温度管理したりして、環境の 側をいじるのが当たり前になり、肉体…

データの調理法

私は数字に弱い。二人で割り勘にする時、一人あたりの値段を空で計 算することもできないぐらい数字が苦手。 だからだろう。相手に全幅の信頼を置くのではなく、手間はかかるが 自分で納得できる形で理解しようとする。電卓を使うとか。 六十五歳から七十四…

アンケートの信憑性

七十四歳までは〈准〉高齢者、という提言についての新聞記事を読み 流せなかったのは、その根拠として、脳卒中などで治療を受ける人の割 合が大幅に減った、というデータが挙げられていたからだ。 脳卒中と肉体の高齢化は比例するのか、と不思議に思ったのだ…

〈准〉高齢者?!

高校生の時に、友達のお兄さんの結婚式でピアノを弾いてほしいと頼 まれた。 お兄さん、二十五歳。 十六、七の私は、まあ、なんて遅い結婚、と思い、見合い結婚だと知 ると、おかげでぎりぎりで結婚に滑り込めて、よかったですね、と思っ た。 だが、私がそ…